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論文

Effects of Fe ions, ultraviolet irradiation, and heating on microscopic structures of black lacquer films

南川 卓也; 関根 由莉奈; 松村 大樹; 廣井 孝介; 高田 慎一; 神谷 嘉美*; 本多 貴之*

Langmuir, 40(11), p.5725 - 5730, 2024/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Chemistry, Multidisciplinary)

鉄と漆の化学反応を利用して、古くから黒漆が作られている。しかし、鉄と漆の反応については、ほとんど知られていない。本研究では、黒漆中のFeイオンの化学状態を、XANES, EXAFS、SAXS, SANSおよびFT-IRを使用して調査した。Fe(II)またはFe(III)を生漆に添加し、空気乾燥,加熱、またはUV照射により黒漆フィルムを作成した。これらのサンプルのXANESスペクトルの測定結果から、最初に添加したFeの酸化状態に関係なく、サンプル内のFeイオンが3価の状態で存在していることが明らかとなった。また、すべてのフィルムサンプルのEXAFSスペクトルは同様の形状であったが、ピーク強度は、空気乾燥$$>$$UV照射$$>$$加熱の順に減少した。この結果は、加熱やUV照射により黒漆中のFeの配位構造が不均一になり、加熱が最も不均一になったことを示している。サンプルのFT-IRスペクトルの変化は、ウルシオールの重合挙動が空気乾燥,加熱、およびUV照射下でも異なり、漆中での反応により、Feの配位構造が不均一になることが明らかとなった。このような結果から、XANESやEXAFSスペクトルは、黒漆の情報を簡易に得る手法として有用であり、貴重な文化財の黒漆の非破壊分析に特に有効である。

口頭

中性子及びX線を用いた黒漆及び生漆膜の構造と生成機構解明

南川 卓也

no journal, , 

漆液の主成分はウルシオールと呼ばれ、その天然高分子である漆は高い耐水性や耐薬品性、抗菌性など他にはない特徴を持つ。古来より漆は本来の茶色だけでなく、黒や朱等の色合いもよく用いられる。黒漆は、漆に鉄を添加する製法が伝統的に知られているが、生漆も黒漆も膜が生成する反応メカニズムは、現代でもほとんど解明されていない。本研究では、漆を模擬することで自然に優しく、耐久性、抗菌性等が高い新たなコーティング材料を開発するため、生漆や黒漆がどのような構造を作っているかを調査した。事前に黒漆に含まれる鉄の量を算出するため、様々な黒漆を購入し、その鉄イオン濃度が約0.3%程度であることを調べた。この結果から、生漆に対して、0.3%の鉄を加えた場合と鉄を加えない場合、鉄を加えて130$$^{circ}$$Cで加熱した場合と室温で乾燥した場合、また鉄を加えて生成した黒漆に紫外線を照射した場合で、漆にどのような反応が起こるのかを様々な測定法(FT-IR, XANES, EXAFS, SAXS, SANS)で詳細に解析した。ここでは、生漆を自然乾燥させた膜、生漆に0.3%の鉄を加えて自然乾燥させた膜、生漆を自然乾燥させた%の鉄を加えて130$$^{circ}$$Cで加熱した膜、生漆に0.3%の鉄を加えて自然乾燥させたのちに紫外線を照射した膜をそれぞれ、F-plain, F-FeCl$$_{3}$$, F-FeCl$$_{3}$$-H, F-FeCl$$_{3}$$-Uと呼び、それぞれの構造を調べた。鉄を加えたサンプルのEXAFSスペクトルから、鉄はFeCl$$_{3}$$として添加したが、漆中では酸素原子に配位して、ウルシオール錯体を作っていることがわかった。また、SAXSとSANSの絶対強度比の差より、F-plainではウルシオールのアルキル鎖が膜構造の構成に寄与しており、F-FeCl$$_{3}$$, F-FeCl$$_{3}$$-H, F-FeCl$$_{3}$$-Uでは0.3%のだけ添加した鉄イオンが膜構造の構成に寄与していることが分かった。黒漆では鉄イオンが添加されることで、鉄を触媒にしてウルシオールが高分子化して黒化するとともに、鉄コアの配列が漆の構造を形成すると考えられる。これは、生漆と黒漆では高分子のネットワーク構造が全く異なることを観測した初めての結果である。UV照射や加熱時の黒漆の構造変化も同様に調べた結果、漆膜の構造は、漆膜作成中の反応経路や速度によって大きく変化し、漆の成膜反応を制御すれば、その物性も制御できる可能性が示唆された

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